Bye-bye...mikan

わずか8歳の若さで逝ってしまった警察犬、Eda of s. Wistaria号(ミカン)

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最近の様子は殆どサダ子状態、犬舎のドアから這いずって出てくる、本当に哀れ。
先代犬カールは股関節形成不全症、是は遺伝的要素が多大、良くも悪しくもそんな病気があるなんて事知らなかった。
全く劣性遺伝を持つ犬の繁殖及びその子犬の販売は詐欺にも等しい、頭にくる。
シェパード等の警察犬種を扱うその専門家などは(警察犬訓練所等)、
平然としたもので使役犬なんてものは使い捨てぐらいにしか思っていないようだ。

併しミカンの病気がヘルニアだったとは知らなかった、
勿論素人の飼い主が変だなと気が付いた時にはかなり病状が進んでいて 左足首はナックル状態、
おまけに爪を擦って歩くものだから爪も伸びずひどい時は出血の有様。
是には理由があって先代カールが似た様な病状でおまけにミカンの若い頃撮った股関節のx写真の説明よると将来股関節の異常が出ても 不思議ではないと言われたことを頭から信じ込んでいたせいもあるのだが。
・・・ミカンの好きな遊びはボール遊び、併し自転車などとの併走は極端に嫌った・・・。
病気さえなければ落ち着いた日常を過ごせる筈の8歳のミカン、 声符による号令は当然の事ながら指一本での指示は何で今頃と犬のほうが不審に思うほどの訓練犬。
それなのに自由の利かない体重33キロの老犬の世話は本当に大変だ。 食欲旺盛、運動能力無し、リードを使っての散歩は勿論出来ない、思い余って車椅子の注文まで考えたのだが。
私の気持ちはもう既に決まっている。 イや決して命を粗末にしている訳ではない、尊厳を持った終末とはどんなものなのか、 犬を通して我が身ならほんとにどうしてもらいたいのか、つくづく考えてしまった。
先代カールは13歳の夏に沈痛薬の投与を受けた翌日には萎えた足で立ち上がり自分で過ごした家を まるで確認するかのように歩き回った、翌日いつものように出かける私を見送りその数時間後に永眠。 その時カールにかけた言葉を未だに忘れない。

・・・おまえも大変だけれど頑張れよ!。

ステロイド剤の投与を暫らく続けてみよう、ミカンの主治医はもう少し面倒を見てみようよ、納得行くまで。
私の心の中を見透かすように、いや私の求めを遮る様に。
立場上はっきりと言えない獣医の現状に私は何故と心の中で繰り返す、決して玩具でもない粗末にしている訳でもない。 もう少し合理的に大型犬と小型犬との差異を述べて欲しいだけなのだ。 終日伏せているだけの現状にミカンの心は、勿論犬の心なんて分かる筈も無いが、私を追うその目がもうたまらなく悲しい。 ただ飼い主の帰りを待ち声を掛けて貰うのを待って居るだけなのかも知れないが。
ステロイドの投与は今日で4日目、局所注射をしたその翌日には少しだけ立ち上がりよろめきながらも排泄をしなんとか少しだけの 散歩を自力で凌いだ。翌日もと少し期待したのだが左足の機能は完全に麻痺、立ち上がることはもう不可能なのだろう。
なじみの犬が飼い主を引きながら駆けて行く、夕方のこの時間繰り返してきた事がもう叶わぬのか・・・・。

1月28日(月曜日)
午後4時の小学校のチャイムが鳴ると決まったようにミカンは騒ぐ、
犬舎に居るのがもう嫌なのだ、 風さえなければ寒くもなければ外にいて道行く人に愛想を振り撒き吼えまくっているのに。
時には鼻にかかった甘え声で甲高くそれでもダメならすすり泣く様に鳴き騒ぐのは子供の頃からの常套手段。
終には根負けしてミカーン・・ミカンと呼びながら散歩の準備に追われるのは何時もの事、元気な頃は8キロ10キロと1時間半の早足散歩。
今はどうだ、すぐ目の前の公園にさへ難儀する始末、
おしっこもウンコももう支えることも困難なのだろうその弱った足と腰でなんとか頑張っている。 思わず介護ベルトの力を弱めてやるとミカンの目が私と合う、互いに・・ あ〜・・今日も何とかできたよ〜・・と心の中でつぶやいている様でおかしい。

カール・・カレン・・ミカン
カール カレン ミカン

08/1_30
ミカンは今日逝ってしまった、椎間板ヘルニア、難病を患い直る事の無いもうすでに絶望の淵に立っていた。
もう少し早く異常に気ずいてさえ居ればこんな事になりはしなかったろうに。
午後3時前、かみさんからの電話
あすはtoyaさんの都合が悪いとの事でできれば今日中に処置を終えたいとの連絡、心の準備はもうすでに整った。 それにしても何故今日なのか、ミカンはいつものように犬舎から私を覗き込み私もまたミカンに声をかける、 まだ早いよ、もう少したったら行こうね・・・・・

一旦車庫に入れた車をまた外に出す、いつものようにミカンのせつなく泣く声が私の耳に届く、せっかくこの時間まで待っていたのに また何処に行ってしまうの、もう外に出て遊びたいよ〜・・・そんな風にも聞こえるミカンの激しく呼ぶ声も今回は表現の仕様が無い
犬舎から出ようとするミカンの姿を網膜に焼付けわずかの距離をミカンを支え移動する。
車の荷席に乗ろうとするミカンを押さえながら『ミカン・・水はいらないの・・飲まないの・・』と呼びかける。
最後の別れの水になるとはこの時気にも掛けなかったが・・・・・・
車に乗ったミカンはいつものように不審に思うことも無かったろう、それこそいつものように景色を見回し いつものように・・・・・
もう二度と生きたまま家に帰ることも叶わぬのに・・ミラーに映るミカンの背中がそれでも普段と変わらないのが哀しい。
目頭が熱く泣き出してしまいそうだ、そんな感情に襲われこれから起こるだろうその事から逃げてしまおうか、今ならまだ間に合う・・・

3:20分頃病院到着、
準備の様子をドア越しに眺めながらミカンの頭を撫ぜ心の中でミカンに話し欠ける 『もう直に楽になれるよ・・』不穏な雰囲気を察したのか私の膝の中に顔を隠す様にあまえ声で鼻ずらを埋め込む・・・・・
名前を呼ばれるまで数分、その間脳裏に巡り巡ったミカンとの思い出、幼犬の頃から今日までの事、立派なシェパード犬としての登録名が 有るにも拘らず安易にミカンなどとあだ名をつけてしまった事、大人3人の暮らしにミカンの話題が欠かせない毎日だった事を。
今日まで本当にありがとうミカン・・・・。

名を呼ばれると同時に助手3人が33キロのミカンを抱え上げ診察台に横たえる、手足を押さえ込まれながらも ミカンの抵抗は無い、もう既に事の全てを察したのだろうか。
立会いする私の目に焼きつく現場のその光景、医師は私に伝える、苦しむことも痙攣も何も有りませんよ・・・・・・
右足首の静脈に全身麻酔の薬物を注入、心筋停止の弛緩剤を注入、その間わずか。
私はミカンの顔を眺めながら覗き込むように左手で横顔を支え呼びかけた、『ミカン・・ミカン・・みーかん・・』
麻酔の注入直後こそミカンはわずかに甘えた声、それも弱々しく最後の私を確認する声、鼻にかかったいつものミカンのあまえ声・・。

左手には先ほどまでかかっていたミカンの鼻息がもう感じられない、右手に感じていたミカンの鼓動も無い、
『先生 もう眠ったようですよ』いや、健康体でこの体重では蘇る恐れもあるんですよ・・・
そんなことになったら可哀そうですからと最後の薬剤を注入、何事も無かったかの様にミカンは長々と横たわっている。
相変わらず私の左手にはミカンの体温が熱く伝わり閉じられた口からは今にも熱い吐息が漏れてきそうで これがわずか数分の出来事なのかと疑いたくなる、やわらかく未だ熱い体のミカン、呼びかけたら起きて車に乗り込もうとするのでは・・・・・。

目を閉じて欲しい、ミカン目を閉じな・・もう楽になったろう
込み上げてくる感情にたまらなくなりミカンの顔の上に涙が落ちる、 脱脂綿等の処置を終えた助手3人と先生が別れの準備をするので待合で待っていてくださいと・・・・・。
淡々と処理をするその光景に何とも切なくて時間の短さだけをやたら感じた、つい15分も前には私の膝に顔をうずめたミカンが この待合室に居たのに・・・人の支配する命なんてこんなにもはかない物か。

人のそれとなんら変わりなく立派に整えられたその紙のお棺にミカンは横たえられ駆けつけたかみさんと 安らいだミカンの首に二人の匂いの染み付いたバンダナを手向けに巻いて最後の別れを惜しむ。

主の居ない犬舎には灯りが点り数年見続けたミカンの残像が未だに残りミカンの甘えた鳴き声さへも届く・・・・
ミカンは2月2日に荼毘にふされ天に昇った。
今日に至り(2/7)あれで良かったのか、本当に良かったのかと自問自答を繰り返した。
いろいろな考え方も有ろう、犬の生に対する尊厳、苦しむ姿を見つめつつ介護する家人の辛さとその欺瞞・・・・・
只かわいそうだけでは人もペットも生きてはいけない、倅の心の中には先代のカールが生きていて私の脳裏には生涯 ミカンもカールも生きているのだから・・・・忘れはしない共に過ごした犬たちのことを・・・・・。2008/2.7水曜日 記

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安楽死を安易に考えている訳では有りません、病気に苦しむ犬を粗末にも玩具にもしていません
現状に食事をとり見た目元気で居るから、歩くことも走らなくとも良い、 傍に居るだけでよいなどとどうして思えましょう、
尊厳のある生き物です、私なら私がもしそうなったら・・身勝手に生かすことは生かされることはひどく辛い仕打ちに他有りません。
なおこの項に対するご感想がありましたらこちら (mikanの掲示板)迄お寄せ下さい。


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