哀悼

先月の事だった、暫らく会う事も無かった従兄が死んだ、自殺。
何故なのか、葬儀にも行けなかった私には分かる筈も無い、無論参加出来たとて何が分かろうか。
心の闇、ポッカリと開いてしまった闇の扉に引きずり込まれたのはむしろ取り残された家族、友人、親戚。

思い出の中に有る従兄の姿は断片的で全くの朧状態、物心が付いた時には既に従兄は故郷を離れとある地方の
地方公務員、時折土産を抱え帰省する彼の姿が嬉しくて併しそれだけの事だった。
我が家に来ては父親相手に母の漬けたナスの漬物で酒を交わす彼の嬉しそうな姿、幼心に焼付いたその場の光景を
今になって思い出せば一枚の写真のようでも有り既に去った2人の傍らでそれを見つめる
幼い自分が居て何故か今はその場の匂いや蒸し暑さまでもが蘇ってくる。

何に悩んでの事なのか、遺書を胸に彷徨う従兄の姿を想像するのは余りに悲しい。
二人の倅が家庭を持ちいよいよこれからだと対外にそう思う事だろうに、だが従兄は違った。
絶望を思うほど人は考え込むものだろうか、考え込んで人は死ねるものだろうか。
希望や怒りを通り越すほどの絶望とはいかなるものか。

07/12_5  合掌