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中尾根1300M付近


林道の右手側の中尾根に上る、当然夏道は深い雪に消え一面真っ白。
尾根上では強い風が吹いているのだろう。
急斜面の雪面は舞い上がる雪で目もあけられない、雪面に伏せ風の止むのを待つ。
今しがた付けた筈の己のトレースさへもが細かな雪に消え、蠢く者の存在を山は否定してるかのようだ。

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見慣れたはずの水無沢のこの一帯、
芽吹きの春も素敵だが冬の様相は恐ろしいほどに綺麗だ。
時折胸まで沈み込む深雪に歩を休め己のトレースを確認、不思議なものだ、雪の混じった風の音に子供の頃が蘇る。
泣きながら従兄の姿を求め雪の中をさまよった、遠い昔の己の子供の姿を見たような・・・・・。

夏道と変わらぬようにジグザグにラッセル。
見覚えの有るブナの大木や岩壁に雪の張り付いた様子はまさに冬ならわ・・・!。
巨石の転がる尾根直下(1230m)は案外と積雪も少なくて簡単にコルに達する事が出来た。
コルから下は笹見木沢、沢の音は雪にかき消えて静まり返っていた。
右の小ピークに登り庚申林道を眺める、登りたい山はほぼ眼前、ほぼ二色の景色に感動。
狭いピークにトレースされた鹿道はやがて尾根を下り何処まで行くのか。
瘠せ尾根を下り尾根を西北に詰めると夏道の覚えの有る道が尾根の南面に付いていた、やはり道は四季を問わずに鹿道には違いない。
もうじきヤシオツツジの季節が到来する、岩魚釣の季節が待ちどうしい。
1360M付近の鞍部に達する、道は北方向に笹見木沢源流に進んでいるのだが鹿のトレースは余りにも危険、 シラビソの樹林帯を登りつめると開けた地点、北方向には塔の峰付近の南面が見え青空に雪煙が巻き立ち綺麗だった。
雪面には鹿のほじくった雪穴がポッカリと空きここは餌場なのだろう。
カミさんと初めて訪れた時はシロヤシオが満開、アカヤシオが満開、東石楠花もそちこちにチラホラ、最高の景色だった。
景とこの尾根を初めて登ったのもツツジの季節、あ〜それからいったい何年たったことか・・・・・。
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雪の張りついた岳樺の白い幹が綺麗、埋もれた岩の雪をどかしては暫らく立ち止まった。
小法師尾根の先には二子山らしき姿が・・・・・
****** 二子山は袈裟丸山から東に延びる県界尾根上にあり、名前の通り二つのピークを並べている。******

下野やふた子の山のふた心

ありける人をたのみけるかな・・・・・

ながき夜に君とふた子の山のねは

おくともしらず朝霧ぞたつ・・・・・・

二子山こえし人のかたみおも

今さらしのぶ月のかがみか

・・・・・・・河野守弘著、下野国誌より・・・・・・・・・

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1400M地点を目指し南西方向に明瞭に付いた鹿道を辿る、道は落ち込んだ断崖の脇から沢を分ける中央の潅木帯を通り立ち止まるようにいくつかに枝分かれしていた。
ここまで来るとラッセルも案外と浅くて済んだ、よほどの風なのか風の通り道に付いた風紋がまるで水流のように波打っているのが本当に綺麗。 何処がピークなのか、南面に目を落とすと鹿の群れが桧の樹林に向け進んでいくのが見えた。 強風を避け餌場をおい立ち止まることなく、本当に鹿の生活も大変なものだ。

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1406M地点から舟石新道が交差するコルに下りる、北側の笹見木沢源流はすぐ其処だ、が併し・・・・・・。
時計を見ると既に午後の2時過ぎ、舟石新道に入り登山道に下山するのもこの時間ではたいぎ、まして丸石沢方面は殆ど絶望的な時間。 意を決して結局引き返すことに。 風はやはり強くて先ほど歩いた己の足跡が既に埋もれかかっていた、ましてその上を鹿が今しがた歩いたのだろう。 道がなんとも賑やかなほどスクランブルしていて地形が判らなかったらこれは本当に大変。 復路は埋もれる心配も無くただ強風に押しやられるように下山、時折猟師の銃声が響き驚くが中尾根は禁漁区なのだ。

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