女峰山まで      
石畳の道から山頂まで
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笹原の長く伸びた頂上までの登山道を水場の標識を目の前にして見下ろした。
日光のどの辺りの家並みなのか・・・・淡いガスに茶色の平べったい町の光景が汎かんでいる。
ここまで2時間半、単独での気軽な登山、山頂までは高度差1700m、ゆっくりのんびり6時間も有れば何とかなるだろうと の簡単な思い出の登頂だが・・・
それにしても濡れた笹原は何と厄介な事か。
下半身だけでも雨具をつけるべきだったと後悔、濡れたズボンに太ももの筋肉までもが冷えて歩行がだるくなってきた。
緩やかでゲレンデのような笹原に一本のコースが右手の沢筋に沿って水楢の林の中に飲み込まれていく・・・・ 水場の案内板に誘われ確かめて見た、登山道からはわずかの距離、湧き出た水が表面を濡らす程度に流れてはいるが すくって飲めるほどの水量は無い、タオルを浸すほど深さも無い。
掌に冷たい湧き水の感触を楽しむ程度・・・あ〜それにしても心地よい。
途中、巨大な花崗岩に刻まれた殺傷禁断の立派な文字に驚かされ、往古からの五禅頂行者の道が深い笹やぶの中 泡靄の中突き進んでいるのは不思議な感じでもあった。
水路の如く深くえぐられた行者道の土底から聞こえて来そうだ・・・・サ〜エギ・サエ〜ギ、ロッコン・ショージョ〜
鶯の音に重ねるように声明し稚児の墓を横目になお笹道を水場まで急いできたのだ。

瀧尾神社駐車場 5:00→ 稚児の墓 6:40→白樺金剛 7:45
*五禅頂、全盛期は室町時代。
女峰山 子真名子山 太郎山 大真名子山 男体山の五山を五班編成で勝道上人の道筋を巡った峰修行。


束の間の休憩、
奥へ奥へと妖しげなものに誘われるかのように足が動き出す。唐松林の右側に白樺金剛の標柱を見る、 立ち寄り願いとも付かぬ登山の無事を祈り濡れた笹藪の道を急ぐ、不思議と疲れも暑さも感じなかった。
(笹薮の中に埋まった金剛堂の台座に欠けた屋根部分、色の変わった御札を添えてあった。)
ミヤコ笹に覆われた登山道、煩わしいアブを追いながらいくと鈴の音が降りて来た、今日初めて人と遇った。 1570m付近、笹道に巨岩、登りあがり足を伸ばす、辺りは刈りはられたかのように樹木も薄く休憩には持って来いだった。
大岩の上でふっと思った、ひょっとしてこの石も古くは信仰の対象ではなかったのか・・・・・・・
唐松林のやや勾配のきつくなった尾根を行くといきなりの露岩帯、灰色の空に左右の切れ込んだ沢の下部は全く見えないが 黒い岩肌に咲くムラサキの花が綺麗だった。
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9:00 八風に着く、
トレイルランの若者2人が駆けて行った、何とま〜健脚な事か。
靄に霞んだ露岩帯の八風、風の強い所なのだろう岩場には殆ど草木が無かった。五禅頂ではこの八風も重要な場所だったらしいが 現在の場所とは違うらしく又どんな行事をしたのか・・・なんダベ〜
黒岩尾根から覗く雲竜渓谷を楽しみにしていたのに、今日は全く駄目、黒岩の標識の立つ辺りはガスに覆われ白一色。
黒岩から唐沢小屋までの時間がほんとに長く感じた、視界のきかない登山ほどつまらない、時折都笹の中に咲く黄色の花が (おそらくツワブキの仲間だろうか)ぼやけた輪郭でガスの中綺麗だった。
道々頭を見せる茸に目を奪われ道草ばかり・・・これは食えるかも・・!。
箱石金剛堂
地形図で見ると雲竜渓谷上部の七滝沢右岸尾根の稜線、コメツガ林の中にひっそりと祭られていた、 黒岩からの箱石金剛堂まではきつい上りでおまけに足元が滑り怖かった、 深い沢筋から差し込む光がコメツガとガスに反射して溢れ なんとも不思議な光景だったがやはり、目は茸に奪われていて・・・なんだかな〜。
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箱石金剛からは登山道は稜線を離れ南斜面を巻くように進んだ、右側の稜線下部はおそらく絶壁なのだろう、覗いてみたいような怖いような・・・
なんにしてもガスで真っ白、時折晴れては垣間見せる山肌に安堵するものの尾根歩きとはこんなものかと変に納得せざるを得ない。
ガレタ南斜面を少し下り又上り返すと緑一面の笹原、その中鹿道の筋が縦横に刻まれ素晴らしい景色だった。
時折足元に咲く花が気になった、矮小化したギボウシの紫花、下野草の綿雲のような淡紅色、釣り鐘草なのかシャジン草にも似た紫の花。
アキノキリンソウの眩いような黄色、時折見せる赤く染まったナナカマドの葉・・・etc
暫らく行くと前女峰山西側の薙ぎが待っていた、道は歩きやすく心配は無かったが・・疲れた〜
薙ぎを越えて樹林帯に入ると唐沢小屋の屋根が見えて来た、磧状の道は小屋の右手に、小屋の周りには誰も居なかった。
暫らく休憩、時折混じる雨、頂上に行くべきか・・・・迷うな〜
*唐沢小屋 五禅頂一行の一日目の宿(唐沢宿)
 西側には金剛堂と不動明王立像がある。
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ぐずぐずしていたら志津方面からの登山者であふれ出した(11:10)、面倒なのでそのまま山頂へ(12:06山頂)。
やはり視界不良、おまけに小雨。女峰山山頂(2483m)標識の立った石盛には何故か黒くなるほど蝿がたかっていた。 二度目の女峰山登頂、併し案外と感慨は薄いものでそそくさと下山。
男体山も大真名子山も何も見えない、足元に注意しながらガレ場を降る。
登山者の連れた黒のラブらドールが元気にはしゃいでいたのが何ともはや・・・・
12:55 唐沢小屋
16:05 瀧尾神社駐車場着
下山中久々に足裏に豆が出来た、靴下一枚だったのいけなかった、反省。
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Pot belly index