1/14
昨夜遅く山小屋へ。
何日か人気の途絶えたログハウスの中はすっかり冷え込みストーブの吸い込みも悪く
中々燃え上がらなかった、煙だけがやたら漏れだし殆どかちかち山の狸状態、ストーブの火を眺めながら
一杯呑もうと思っていたのにとんでもない、コップ酒を思わず電子レンジでチン。
早朝ミカンの散歩がてら新聞を買いに行く、何処でも荘だけれど朝の挨拶を交わすのは
殆ど犬連れの相手だけ、互いに犬を通しての顔見知りに過ぎないのだが。
近所の農家のじいさんから栗の木をもらいうける、勿論薪ストーブ用の薪にするためなのだが、
久々にチェンソーを使える、栗の木はまだ乾燥も進んでいなくてチェンソーの刃は大量の切り屑を吐きながら爆音を立て
食い込んでいく、玉切りにした栗の木を車に積み込み3往復、直径約40センチ長さ約6メートルほどで重さはどんなものだろうか。
原木の伐り出しと運び込みで思いのほか時間がかかり昼を回ってしまった、食事もそこそこに今度は薪割り
とその積み上げでヘロヘロになってしまいやれやれと思った頃には腕も腰も既にギブアップ。
茸のホダ木用にと栗の丸太を少しばかり残し後かたずけ、たまたまやってきた近くの椎茸栽培の鶴見さんに
その事を話すと栗の木は茸の原木には不向き、きっぱりと言われてしまった。
ナメコ菌、クリ茸、平茸菌と3種類買ってあるんだけれども、、、、、
仕方ない原木をあげるからチェンソーを持って来なさい、、、、、
急いで物置にしまいこんだチェンソーを持ちだし鶴見さんの待つクヌギ林にすっ飛んで行く。
すっかり葉を落とし裸になったクヌギの梢を眺めながら
こんなに大きな木を伐るのかと少し不安になりながらも内心はニコニコ!!チェンソーは唸りをあげ
クヌギの白い肌に食い込み少しの間にバキバキとクヌギは倒れ込んだ。
めくら尺で横倒しのクヌギを切り分け鶴見さんの軽トラックに積み込む、、もう本当に今日はヘロヘロ。
鶴見さんは孫の待つドント焼の会場に急がなければと収穫した椎茸を急ぎ積み込み帰って行った。
陽が落ちると急激に冷え込む、昨夜苦労した焚き付けは今日は完璧、パチパチと薪の爆ぜる音を肴に
疲れ果てて寝てしまう。
1/27 土曜日
クリニックの配達を済ませ早々に山小屋へ。
鹿沼の麺坊に寄り軽く食事、麺坊によるのは暮れ以来、今年初めて。
中尾さんは珍しく一人忙しなく立ち回っていたが相変わらずの饒舌で店内はほんのりと和んでいた。
お気に入りの野菜ソバ&餃子をたいらげ明日の予定を話しあい愉快な気分で店を後にする。
日光山中での雪山宴会の話ではなんとも楽しいメンバーが勢ぞろいするらしく中尾さんはカラカラと気炎を上げ
誘ってはくれるのだがなんとも、、、
9時前には山小屋へ到着、車庫の砂利は霜で盛り上がり水栓のボックスは凍りつき開栓するのに一苦労した、
毎年の事ながらも冬の日光は厳しい。(今市市は昨年合併して日光市になった。)
外はマイナスの気温、室内は思ったほど冷え込んでおらずわずかに温もりを感じた。
薪ストーブに火を入れ落ち着くのを見計らって早々と寝る準備、この間一人で来たときは酔っ払ってしまい
ストーブの横で寝てしまった、夜中に寒くて目が覚めたときには燃え尽きたストーブからのほのかな暖かさが嬉しかった。
1/28 日曜日 快晴
茸の駒打ち、約90センチほどに切り揃えたクヌギの原木に三種類の茸の菌を今日は気張って打ち込もう
750個の駒を(菌)を打つのには電気ドリルと8.5ミリの駒打ち用のドリルが必要、8ミリの木工用のドリルを探したが見当たらない、
急ぎコメリへ向う、
鍔付きのドリルを見つけついでにナメコの菌をもう一袋購入した、このときヤッパリよせば良かったのに
菌を打ち初めてそのホダ木の保管場所を探すのに又困ってしまった。
クリ茸のホダ木、、、、90センチの原木が4本
平茸のホダ木、、、、、90センチの原木4本
ナメコの菌(500駒)、、、90センチの原木8本
クリ茸と平茸は日陰の隅にでも転がして置けばなんとかなりそうだがサ〜困ったナメコ、、どうしよう。
昼飯も忘れて右手の人差し指に豆をこさえるほど夢中で駒打ちをした挙句がこの始末、仕方なく16本のホダ木を
庭の隅に敷き詰めその上に枯れたススキを遮光ネットの変わりに敷き詰めなんとかこの作業を終えた。
ホダ木はなんとか完成、遮光もした後は乾燥さえしなければ少なくとも2年は原木ナメコを堪能できるという訳だ、、自然と頬が緩み
待ち気れんとばかりススキの上から如雨露で大量の水をかけニンマリ!!。
結局今日は誰とも話すこと無く過ごした、終日外に居たにも拘らず知った顔の一人も通らないなんて珍しい
事だ、マアー、、日頃煩わしい事ばかりだしこんな日もあって良いだろうよ、たまには。
ストーブの横で又寝入ってしまった、気が付いたのは10時過ぎ、薪も燃え尽きて温もりが残っているだけ
ロフトはストーブの暖気で暑いくらいだったが日中の疲れもあり又すぐに寝てしまう、夜中(深夜2時ごろか)
突然の雨音にビックリ、中尾さんが言っていた大荒れとはこの事だったのか、山中はきっと吹雪に違いない。
漸く完成した手作りロッド、
全長7' #4番、2P。
top、スズ竹(高野竹)足尾山中で採取
bat、矢竹は粕尾川で採取
逆印籠継ぎ
グリップの素材はモミジ葵の茎を芯にして籐巻きにした。
リールシートは古いロッドから
ガイド類、文房具のクリップを加工した。
ロッド本体はカシュウで5回ほど拭き塗りをした。
ラッピングには絹糸の#50を使用
接着剤にはエポキシ系のボンドを使用
とりあえず最初の1本が出来てしまった、アクションには問題なさそうだけれど
強度的にはどうだろうか、不安なので次回は5本継ぎのパックロッドを作ろう、予備竿のパックロッドがザックにあったら安心感も
ひとしおだろうから。07_2/11
2/18(日曜日)
珍しく朝から雨、作りかけの4本継ぎの竿は今日にも完成するだろうか、総スズタケの7F半。
問題はグリップをどうしようか、コルクグリップではありきたりすぎる、
やはり籐巻きのオリジナルにしようか、籐巻きの下地にはバルサ材の削りだしにしよう。
昨年秋に刈り出した餅が瀬の高野竹(スズタケ)は職場のオーブンで焼きを入れ完全に水分を飛ばした。
竹の表面には古竹に出るであろう虎紋がかすかに浮かびなかなかのものだ。
フェイルールをどうしよう、並継ぎ、印籠継ぎ、それとも逆印籠継ぎがいいか?
スズ竹の最大の太さはBUT部分で最大7ミリ、TOPの太さは2ミリ、強度的に考えても
作業的にもだいぶ難しい、、、、
考えた挙句フェイルールを別に作りコミ口にすえることにした、
この場合
1番目の太さがグリップから 7ミリ→6ミリ
2番目 6ミリ→5ミリ
3番目 5ミリ→3.5ミリ
4番目 3.5ミリ→ 2ミリ
玉口と込み口の直系が同じなので作業もやりやすく強度的にもかなり期待できそうだ、
フェイルールに削りだすスズ竹も失敗作の中からかなりの部分賄えそうで心配することも無い。
それぞれの太さの直径に合った葉錐りを用意して慎重に削りだす。
問題になる部分と言えばフェイルール自体の厚さ、スズ竹の一番硬い表面部分を1_以下に残し
内層だけを削る、何度もノギスを当て何度もすり合わせて漸く一個のフェイルールが完成。
2番目のBUT部分にそれを仮繋ぎして1番目を差し込み具合を見る、、いい感じじゃないの〜、
コツをつかんだせいか後の3個のフェイルールは案外と短時間で仕上げることが出来た。
フェイルールをそれぞれに接着、完全硬化が済むのは12時間後、
ただのスズ竹から強度を兼ね化粧巻きしたフェイルールが釣竿だと意思表示してるかのようで
なんとも嬉しい。
パックロッドを作りたくて今回が4度目、過去の3度はいづれもフェイルール部分での強度不足が原因で
失敗、性格の違う自然素材の竹を合わせて1本のロッドに仕上げる事は素人には至難の業だと思い知らされた。
3度の失敗で感じたことは所詮自己満足の世界なんだからと言う事か。
壊れたらまた作ればよい、毎年オフシーズンに次回の釣行に思いを馳せ釣竿を作っても楽しいじゃないか、
毛鉤を巻くこととなんら変わりないのだし、岩魚を追いながら竿作りの竹を探していてもそれはそれで
面白い、秋のキノコ狩りを兼ね竹刈りも出来ようってもんだ。
そうしたら一年中岩魚釣りと関わっていられる、
2年越しで刈りだし保管してある竹は凡そスズ竹が70〜80本、それと矢竹を少しばかり、
プロの竿師は何年も乾燥したものを使うとか、そんなに待っていられなくて私は天日乾燥した竹を
曲がりを取り職場のオーブン(私はパン屋)で完全に焼きを入れる、170度の熱源で10分間を数回繰り返し
そのつど曲がりを取り素材に作り変えるのだがスズ竹の場合は粘液質のアクが強く最初の作業は大変。
焼きの入った高温の竹を拭うとベトベトになりおろしたての軍手などは数本の竹で真っ黒になってしまうし
又竹の乾燥で生じる匂いもパンの焼けるそれとはかなり違うし喉がいがらっぽくなり誰も居ない早朝にこの作業を
済ませてしまわなければヒンシュクの嵐になってしまう。
製作中のロッドは同じスズ竹のパックロッドに2本継ぎで同長のロッド2本、完成まではもう少し時間がかかりそう。
3/4(土曜日)
クリニックの配達を済ませ鹿沼へ、
予約して置いた「新源流紀行」を貰い受けにしなそば麺坊に急ぐ。
カウンターに席を取り落ち着くと同時に店主の中尾さんから思い掛けず友人の紹介を受ける。
掲示板で良くお見受けする黒ヤスさんである、この日はいずれも共通の友人であるご夫婦を
肴に相当出来上がっているような様子で楽しげだった。
四季を問わず山歩きをこよなく愛す黒ヤスドンの愉快な笑いに引きこまれつい長居してしまった。
3/5(日曜日)
昨夜遅くまで飲みながらの読書で今朝は8時過ぎまで寝てしまった。漸く文挟のこの辺りまで
梅の花が登ってきた、部屋の中はそんなに寒さを感じなかったけれど何か寂しい、
賑やかな酔客と別れたばかりの事、部屋の冷たい空気には耐え難く面倒ながらもストーブに薪を焚く。
小さなログハウスだけれど薪ストーブはやはり欠かせない、数十万もするようなストーブではない、
ホームセンターで買った鋳物製の安ストーブだけれどそれで充分、炎を見ながら一人或いは家族で楽しめるのだから。
朝食を済ませ9時半過ぎに外に出て見た、暖かい、天気予報の言うとうりだ。
庭に散らばった落ち葉をかき集め霜で盛り上がり今に崩れそうな花壇の石組みを治し箒がけをし、側溝に溜まった
落ち葉を掬い上げ一休み、どうせ誰も見ているわけじゃ無し、出かける必要も無いことだし母屋のログ壁に背を押し付け
日向ぼっこ、やはり日向ぼっこにはビールが欠かせない、春風を感じながら居ると蝶までも誘われたのか飛んでいる。
先日買った旋盤の台を作る、物置に仕舞い込んだ板切れの良さそうなところを見つけ出し、
寸法どおりに電動鋸で切っていく、早くて便利だけれども何か危険、便利さにはリスクも伴うってか!。
趣味の釣竿作りにどうしても欲しかった旋盤を手に入れたのはつい先月の事、旋盤
なんて触ったことも実物を目にしたのもこれが初めて、
とりあえず作るのはロッドの金具類にフィーラー。
試しに真鍮の丸棒を削って見る、(切削と言うらしい。)見た目真円に近い棒だけれども削ってみるとかなりの歪がある事が分かった。
単純な事だけれど機械部品の交換パーツが高価な品物だと思い知らされた時間だった。
チリチリとバイト(旋盤の刃物)が真鍮の丸棒を削る音が心地良い。旋盤を自分の部屋に設置するに当って
どうにも気になる事が一つ、それは壁紙の汚れ具合、壁紙を張り替える技術も無く仕方なく腰高に板張りにしてしまった。
板の横張りなら問題ない部屋の3面を二日がかりで板を貼り付けた、おかげさまでなんとも木目の美しい部屋に様変わり、費用も1万円を切りわりやすである。
結局この日は誰とも話すことなく終日無言の行で終わった、夜半雨の音で目が覚める、もう水道栓を閉める必要も無いだろう、
文挟にログハウスを建築して今年で8年目、こんなに暖かな冬は初めて、裏庭のふきのとうは大きく膨らみ
正面に去年植えたクリスマスローズの花が一輪まぶしく咲いて居る。
3/11 森の中で
明け方から強い雨、午前中には上がるだろうとその雨の中をミカンと散歩。
今日一日何度犬を連れ森の中にはいるのだろう、カリカリに乾燥した椎茸の原木もこの雨で潤い
夕方近くには乾燥し伸びる事も出来なかったキノコが元気な姿を見せてくれるだろうか。
桧の森の中は栽培椎茸の原木に埋め尽くされきれいに整理された小道が雑木林の奥まで数本の枝道と交差しながら
伸びていて雨の雫をさえぎり散歩コースには最適だ、雑木林の奥には小屋暮らしを一人楽しむお爺さんが住んでいて
ミカンをよろこんで迎えてくれる、もう何年も放り出された住宅造成地、既に雑木林に様変わりしていて
舗装された道路だけが雨に洗われ光っている。
一面福寿草で覆われた梅畑が黄色く広がりその斜面だけが不思議な感じだ、ほころびはじめた梅がわずかに黄色の
上面に淡い光彩を放ち風に乗せその匂いをはこんで来る。
午後からは上天気、気温も少し上がり陽だまりのミカンを連れ出し散歩、明け方の強い雨に森の中はしっとりと濡れ
さわやかだ、去年の5月はひどかった、降り積もったヒノキの花粉が舞い上がりまるで乾いた工事現場のようだった、
今年はどうだろう。
強い光が林間に差し込み何を追うのかミカンが消えていく、
4/20
欲しくて購入したミニ旋盤だけれど小さいだけに限界があるのかそれとも扱い方が未熟のせいなのか?
尤も旋盤なんと言うものに触ったのは今年になって初めての事、
薪用に割って置いたケヤキの中から適当な材を探し出しフィラーを削りだし
そのフィラーに合わせて真鍮の金物を削りだすのだがこれが又巧く行かないのだ。
旋盤の立て送りが上手く行かない、ポケットを作る為の穴繰りの加減が分からない、センターを上手に合わせているのだが
・・・・いやイや何もかもが試行錯誤、判らない事ばかり。
帰宅するや犬の散歩もそこそこに数日夢中になって削りだした、真鍮のポケット&リング・・・中々の物じゃないの!。
初めて削り出したにしては良く出来たもんだと半ば自画自賛、それにしても20ミリの真鍮の丸棒から出る切子の量は半端ではない。
20ミリの丸棒から直径18ミリ、厚さ1ミリのリングを削りだす為のとんでもない時間と労力、
おまけにそのための無駄金、出来合いの品を求めた方が出来もよっぽど良いだろうに!。
とは言えやはり自分で作ったパーツを眺めるのは気分が良い、ましてもうじき完成するロッドを携え
未だ入った事の無い流れに向えるのだから、既に年券の購入は済ませた、気分はもうウキウキ、
ヤモも岩魚も既に我が手にアリ・・
4/28(土曜日)
自宅近くをミカンと散歩中に見つけたアラゲ木耳を土産に鹿沼の麺坊に急ぐ、
麺坊の店主、中尾さんは明日からの源流行きを控え嬉々とした表情で楽しそうだった、庚申川の減流域はまだ毛鉤には
だいぶ早いだろうな、、、そうよな〜。
連休さえ取れたなら・・・
4/29、
鶯の音で目が覚める、椎茸のホダ木で埋め尽くされたヒノキ林の小道をミカンと散歩、先週は
少しの間だけれど収穫の手伝いをした、春の茸は特別美味い、肉厚で上等な香り、何時もそばにある茸だけれど
冷凍保存してまで楽しめるのはこの時季の茸に限る。
いく列にも並んだホダ木と平行して数人が収穫に適した茸を的確にもぎ取って行くのは見ていても楽しいものだ。
今夜はコシアブラにその椎茸を炊き込んだ炊き込みご飯にしよう。
先週偶然にも採った春の貴重な茸、アミガサ茸を又探して日中歩き廻った、
桜が咲く頃がこの茸の盛期らしく処かまわず発生するらしいのだがどうも今日は見当たらない、先週少しだけ食べたアミガサ茸の香りと味が忘れられない。
アミガサ茸を探し徘徊していたら居合わせた人に声を掛けられつい長話、私の小屋とは至近距離の住人なのだが
会ったのは初めて、何時も家の回りをこざっぱりに整理した几帳面な人なのだろうぐらいにしか思ってはいなっかたのに
やはり話をして見ると印象は変わらないものだ。
千葉の自宅から4時間掛けてはるばる来るらしく彼の山小屋に抱く思いは本当に強い、(ま〜この辺りに小屋を構える人は大体そうなのだが!)
斜面に建つその山小屋の基礎部分を利用した地下室が自慢らしく業者を介さず独り工事した時の楽しい話で
大笑い、その自慢の地下室に設えた趣味の陶芸窯に電動ロクロはやはり最初に小屋に抱いた印象そのものでなかなか
楽しそうな感じの人だった。
5/6
昨日まで続いた連休の好天も終わり今日は一日雨、全くついてない、とは言うもののこの雨で少しは
静かに遊べると言うものだ。今年初めての釣り、しかも自製のフライロッドを思いっきり振って楽しもうじゃないの、
場所は餅ヶ瀬合流点より下流の渡良瀬川本流と決めて今朝6過ぎには山小屋を出た。
日足トンネルを越えた辺りから雨、途中コンビニで弁当を買い空を眺める、気温13度、風は無い、全く昨日の夏日は一対何処へ行ったのやら。
昨夜鹿沼の面坊は賑やかだった、連休後半存分に楽しんだ連中の話しで楽しかった、隣の黒ヤスドンのにこやかな事、まして主の中尾さんなどは
遊びの報告に目を細めるような感じで嬉しそうだった。
友が集う、、、はたから見てもいいもんだ。
入渓地点に到着、千葉ナンバーのワゴン車が1台、男の子2人とキャンプ、
今日で帰るとの事、ついて離れない子供がいるので今回殆ど釣りにならなかったと少しボヤキ気味の若いお父さんだった。
入渓地点には堰堤ダム、目を凝らし魚を探すが見えない、件の家族が先ほどまで遊んでいたのだろう砂には足跡が無数、
コンクリート壁の右岸を辿り少し上流に歩を進めロッドを繋ぐ、自製のフライロッドの出来はどうだろうか。
準備を整え振って見る、ヘラ鮒釣りの竿に多用される高野竹だけに少し胴調子気味の感じでパワーに欠ける、、(これは失敗作だ)。
ヘロヘロの竿を振りながら川面を見やるとなんと言うことか、水色は薄気味悪い緑色、川幅は広くいたる所山女魚の
上釣り場に見える、しかも対岸に渡渉するのは難しそうだ。
時折強く降る雨に川面はくすみ毛鉤の方向さえ分からない、迷うほどのポイントに打てども打てども反応が無い。
いないのか〜お〜イ・・ヤモや〜。
雨の音に驚いたのか先ほどまで鳴いていたカジカ蛙の音が聞こえない、岩陰に隠れ濡れた足元を眺めると弱い流れからは
時折カゲロウが飛び立ち洗面器ほどの溜まりに獲物の影、静かにゆっくりロッドを振る、18番の極小のフライがポイントに流れ落ち
今年初めてのヤモが手元に、ヘロヘロロッドがまるで尺物の山女魚をかけた様なしなり具合。
失敗作なんてとんでもない、実に面白い立派な竿じゃないの〜へへへ、チビ山女魚を流れに戻しながら笑いが止まらなかった。
5/13
散歩中キンランを見つけた、刈り払いされて漸く日の目を見たものなのか、
それにしてもこんな所に長年探していた花が在るなんて、山吹色の花が付いていなかったらただの百合の茎ぐらいにしか見えないだろうに。
キンランの人による栽培は不可能だとの事、移植しても3年もしたら消えてしまうらしく園芸店で販売しているとしたらそれは
間違いなく盗掘されたものと思って良いらしい。
小屋の辺りで確認出来た蘭は(春蘭・エビネ蘭3種・コケイ蘭・ネジ花・ギン蘭)
毎年この辺りにと思いながら探すのだが目印を付けて於く訳にも行かずやはり巡り合えるのはまれだ。
5/20
23.24日と渓泊まりの釣行の前に足馴らしと思い大好きな沢に入渓、何時もなら先行者がいないか
と一番乗りを目指し忙しない朝なのだが今日は違う。
夕方まで楽しもうと思い林道ゲートに着いたのは9時半頃、既に車両で満杯、仕方なく国民宿舎の駐車場に車を止め
バイクを下ろし準備する。
9時半、足尾の気温13度で風が異常に冷たい、来る途中も小雨模様だったが本当に晴れるのか不安になる、
神子内川は釣り大会なのかそれとも放流日なのかまるで釣堀状態、県外ナンバーの多くは熊谷、春日部、群馬が殆ど
しかも良く眺めると年配者、そしてお揃いの格好・・何だかナー。
ゲートを潜り林道を進む、林道には登山者の中高年の十数人が行列を成しその脇を通過するバイクはやはり
なんとも場違いな感が否めない、
庚申山の登山道入り口にもやはり車が数台駐車、釣りなのか登山者なのか不明だがこの時季の庚申川はなんとも賑やか
登山道入り口でカミさんに頼まれた山菜を探すが芽が出たばかりの様子でとても採れる様な状態ではなかった。
林道を再び下り途中にバイクを止め目的の沢まで歩く。
新しく購入した沢靴の履き心地は良好、おろしたばかりで馴染むには今日一日かかるだろうが石ころだらけの林道は
やはり気持が良い。
連休の賑やかさもこの沢には関係なかったのか沢床もきれいなものだ、11時過ぎ最初の大滝下流の流れ出しでいきなりのヒット、
パイロットフライにいきなりのアタックでびっくり、偏光グラスを付けない老眼気味の目にも鮮やかに岩魚の斑紋が見えるくらいの勢いだった。
ずっしりと重いオスの岩魚、
鮮やかにオレンジに染まった今年最初の岩魚に感謝。
大滝を高巻く途中、山菜のモミジガサを採取、最近お気に入りの山菜だ、シドケとも言われ人気の山菜だとの事。
斜面を這いつくばりながらあっちにもこっちにもとモミジガサを摘んでるうちにも滝を高巻いてしまった。
F1.F2.F3.と続く大滝の高巻きは気を許せば大変な事に、どうも最近人が歩いた様子が無い斜面がとてもきれい、
最もよっぽどの物好きでも無い限りここには入らないだろうが。
F2の手前プールで面白い釣りが出来た、水温がまだ低いせいか大場所に岩魚が溜まっているらしく
前後左右と毛鉤を流すとその度に岩魚がヒット、しかもサイズは決まって同じ18センチほどでそれなりに引きも強く面白い、
今回の釣行ではそんな場所が3箇所ほど有った、溜まりはおそらく岩魚のお風呂。
5/23
23日水曜日、クリニックの仕事を早めに終えるつもりが突発な注文等が増え出発が遅くなってしまった。
五月晴れの好天の中粕尾峠を目指し栃木インターを下りる、
途中のコンビニで昼食用の食糧を買い込みそのままトンネルを越え(おこうちトンネル)
粕尾川沿いを粕尾峠を目指しひたすら走る、鮎のシーズンにはまだ早い粕尾川の清流には禁漁の札がそちこちに立っていた。
粕尾川でも随分と遊んだもんだが今はトンと足が遠のいてしまった。
真夏、杉木立の川辺に車を止め蛍を眺めながら独り過ごしたもんだが、その頃に比べ今はどうだろう、
里川の山女魚釣りには興味が失った・・・そんなところか。
家を出たときの気温は30度近くも有ったのに粕尾峠では23度、風も心地良い。
対向車も無く足尾着は3時前、庚申川の銀山平に車を止めバイクを下ろし
今夜のテン場でも有る庚申七滝前の広場に向う、20日の日曜日には大勢の登山者で賑わったのに
今日は誰一人出会わなかった。
林道は今がツツジの盛り春ゼミも少しだが鳴き出し咽る様な緑の季節がもうそこまで来ている事を実感できる。
20日の釣行時失くしたと思っていたCFカードがそのままの状態でその場所に落ちていた、ぁ〜良かったと大喜び、
最後にカメラを取り出したその場所にきっと有るだろうと思い寄って見て正解だった。
しっかり機嫌を良くしてテンバに着くなり一息つく、
テントを整え焚き火用の枯れ木を集め水を汲み用意する物は用意して5時過ぎには岩魚釣に竿を出す、西日が木漏れ日となって
川面を照らし中々岩魚の反応が無い、6時半過ぎ今まで余り釣れたことの無い広めのプールでいきなりのヒット
同じ場所で良型の岩魚を3尾、又次ぎのポイントでは2尾、計5匹の岩魚をゲットし暗くなった樹林を抜けテンバに戻る。
白樺の樹皮は焚き火の火点けには持って来いだ、ホンの少し乾いた小枝の中に樹皮を差し込み点火
焚き火は勢い良く燃え上がり広場を明るく照らす、塩を振った岩魚を3尾火にかざし残りの2尾は今夜の酒の肴にと
お刺身にする、大振りの岩魚の頭も火にかざしこんがりと焼こう、岩魚の頭で骨酒も良いもんだ。
来るのか来ないのか釣友は未だ闇の中・・此処は携帯も繋がらない圏外なのだ。
テン場の真上だけが明るい夜空、滝の作り出す風が幹を揺らし木々の葉がざわつく、すると三つのヘッドランプ。
いきなりの登山者に驚き又その3人も異様な遊びに驚いた様子、
何故か勧めた訳でもないのに火の回りに腰を下ろし言い訳のように下山の苦労を語りだす、
焚き火にかざす岩魚の香ばしい匂いが鼻をくすぐるのかそれまでゼイゼイ言っていたのがまるで嘘の様に...こんな遊び今度して見たい....
束の間、賑やかに騒ぎ暗い庚申林道を下っていった。
滝の落ちる音に眠気が差し焚き火の傍でうたた寝、9時過ぎだろうか、バイクの音『お待たせ〜』
syuさんがやって来た。
サ〜これからが楽しい宴会の始まりとは言うものの2人だけの事、連休中に歩いたスカイ沢の話や翌日入るであろう
沢の話やら、7月予定のガンガラシバナへの誘いやらで話しが盛り上がる。
ところで今日の岩魚はどっしたの!・・・来ないと思い食べちゃったよ〜、
あぁ〜ちめたいな〜〜・・食いたかったな〜・・大笑い。
5/24
庚申川源流遡行
昨年5月早々谷間にはまだ雪も残る頃上流部に遡行したが
行くときは枝沢の名前も滝の名前も皆分かっていたはずなのに何故か
三才沢の左岸枝沢を遡行中に道を間違えとんでもない方向に向ってしまい
彷徨うこと2時間、登山道なのか獣道なのか全く訳が分からず難儀してしまったものだ。
その時までは確かに三才沢に入って岩魚を釣ったのだと思っていたのに(確かに三才沢)
家に帰り遡行図を見ているうちに何故かその日に行ったのは庚申源流『鏡沢』だと勘違い。
そんな訳で勘違いのままPCには源流の鏡沢&赤渋沢遡行の顛末などと記して仕舞い夏まで気が付かなかった。
夏に鹿沼の中尾さん、田辺さん、私とで3人庚申川源流に撮影遡行をする事になり
その時初めて春の勘違いが判明、我乍ら恥ずかしかった訳で唯・庚申川の水の冷たさに救われた思いが
強かった。
その時の遡行は源流部の最初に出あう通らずの淵、わずか1.5メートルほどの高さの滝だが
滝壺も深くおまけに両岸が切り立ち滝を形成する岩は丸く手懸かりが無い、最悪なのは水の冷たさ、
このとき中尾さんは強行突破を主張したのだが本人が直接淵に入り『止めよう〜や』と相成ったわけで
右岸を高巻く2人を指を咥え見送った。
syuさんと早朝5時半に別れ本流に突入。
三才沢までは何度も釣りをし慣れた道、そこそこに思い出の場所が在る、中でも中流部最悪のゴルジュ帯は
10メートル斜めの滝を擁し滝下の釜は3段に分かれ薄暗く夏場でも気持悪いほどだ。
左岸には巻き道も在るものの本当に危ない、併し今朝は何故か気分が良い、途中めったに見る事も無い山芍薬の花が
赤沢手前の左岸に群棲しているのを見つけたのだから。
今回の遡行は三才沢を過ぎ核深部に入る最初の通らずを独りで突破する訳で否が応でも緊張した。
三才沢出合い(午前8時)を過ぎ底に泥が溜まったような流れに変わる、水面は本当にきれい、黒い岩魚の影がそちこちに奔る、
連休以降余り入渓者がいなかったのか沢床にはゴミも無く珍しくきれいだ。
最初の通らずは右岸のルンゼを慎重に高巻く(10m程か)登りきって水面に目をやると
とんでもない、
最初の通らずを強行突破しても結局上流には泳ぎが待っているではないか、間夏の炎天下ならともかく
此処は諦め素直に右岸を高巻くのが賢明だろうと独り納得する。
上流をを見上げると右岸に凡そ20mの細い滝が2段になり落ち込んでいて又鏡沢本流にも凡そ20m2段の
滝をかけ滝下の釜は深く突破困難、
大きく右方向に曲がっていてこれを又どうしたら突破出来るものかと
その場に立ち考えてしまったが左岸のガレタ急坂を強引に木の根に掴りながらなんとか二つ目の滝上部に
下り立った。
岩魚は奔るのだがとんでもない、フライロッドを出す様なそんなのんきな事言ってられない、
鏡沢のゴルジュ帯を抜けなければ
そんな思いの方が強く岩魚ウオッチングに徹してしまった。
まもなく1:1の沢が右岸に出合うと渓相も一変しまるで水が無いかのように沢は静かな流れに変わった。
先ほど出合った1:1の右岸の沢が恐らく『赤渋沢』中尾さんが庚申源流には良く釣れる沢が有ると言っていたがさっきの沢だろうと
思いながらも道は不案内、初めての源流でもある事だしと思い諦めその場からいよいよ釣り開始。
厭きるほど飛び出る岩魚に誘われ行くと5mほどの滝を架けた通らずが現れロッドを繰り出しながら考えてしまう。
さほど深くも無いその滝下に潜む岩魚は元気に飛び出しロッドを大きく曲げる、嬉しいのだが・・・・
さてさて・・何処を巻いて良いのか!
通らずの滝右岸に付いた細い垂直のガリーを多分此処だろうと思いロッドを持ち上げながら登る、
登りきって見ると案外何でも無い処なのだが
やはり源流部、直近の足跡さへ無い、此処までは釣り師は来ないのだろう、来るのは沢上りの登山者がくらいか。
鏡沢は更に2俣に分かれ(1:2)フライに飛び出る岩魚も随分と小振りになりもうこれまでだと思い納竿する。
時計を見ると既に午前10時を回りこの先が不安になり源流部の遡行に徹する、ピーカン照りの上天気、とにかく暑い、
釣りをしながらの渓歩きならどんなに陽が差してても暑さを感じる事は無いのだが、
ガレタ右岸を過ぎ沢は右、左と蛇行を繰り返し水量も少なくなりだんだんと遡行しずらくなった。
テント場は至る所に在り焚き火の跡もひどく目に付くようになった、
併し岩魚釣を目的なら此処までの源流部に来る事は無い最初の2俣までが岩魚釣の限界だろう。
テント場を見送って暫らく行くと沢は又2俣に分かれ(2:3)ゴロゴロの大岩の中を上昇して行く、
此処まで来ると本当に尾根筋もまじかに見られ一息つきたくなる、
ザックをおろし用意して来たお茶を探したが見当たらない、岩の間を擦り抜けた時に落としたのか、
この先の長い登山道を
思うとペットボトルが無いのは本当に辛い、風も無い雲も無いピーピーカンカン照りの上天気なのだから。
その後また沢は2俣に分かれ(1:1)たぶん右が本流だろうと思いながらも何故か左俣に進む、
分流点にそびえる大木の下には
最近の物か焚き火の跡、景色は最高だろうけれど良くもま〜あんな流れの際で・・・・・
左俣を暫らく行くと細く薄い流れに変わり滑滝が目立つようになりこれと言った滝も無く斜度も段々きつくなって来る、
黒い一枚岩の滑滝越しに上方を眺めると色のあせたリボンが下がり沢はまた2俣に分流、
滑滝が尾根に向い細い筋の様に延びていた。
リボンの下がるその場所で登山道が合流(12:00)六林斑峠に向う道は案外と整備されきれいで足跡だらけ、
合流点が最後の水場なのか休憩の後が垣間見られた。
登山道合流から庚申山荘までは凡そ1時間ちょい、今日のために新しく買ったシューズも源流仕様、
足にかかる負担も少ないのだが何せこの天気
本当にたまらない、登山道から眺める袈裟丸連峰は素晴らしい景色だし鳥の囀りも何とも言えない。
道は刈込まれ整備され見失うことも無いけれど途中には危険な箇所も何度か見られる、
下界では終わってしまった桜が
今が花盛り、暑い、暑い、恨めしく空を眺めると樹木の葉っぱは一枚足りとも付いて無く隠れる場所さへ無い。
三才沢の合流点で漸く木々の葉っぱも若々しく付き始める、
このまま面倒だから三才沢を下り庚申川本流に戻り帰ろうかと思ったが
せっかくの独りの山、それに庚申山荘も一年ぶりの事だし。
山荘着(13:15)山荘真上の庚申山の岩肌は淡紅色のツツジや白のヤシオツツジに彩られ見事な景色だった、
のんびり七滝まで下りベンチで一休み、何時もの様に湯を沸かしコーヒーを入れラーメンを啜り名残惜しくてぐずぐずと時間を潰す。
6/13-14(水曜日&木曜日)
庚申川源流・・・・PAT3
5月に続き再び庚申川、明日には関東地方も入梅との事だがたいした事はあるまい。
30度を越えるような水曜日の午後大急ぎ庚申川の7滝テン場に急ぐ、途中粕尾峠で バイクのタイサンベルトが緩み
締め直し無事峠を下る、銀山の駐車場は満杯、庚申草詣での登山者の車なのか、こんなに天気が良ければ
そうに違いない、バイクをおろしテン場に向かう準備をしていると2人の若者が下りて来た。
話し掛けると釣りでも登山でもなく鉱石探し・・石探しなんですと思わぬ答えが返ってきた。
鉛沢の紫水晶ですか?水晶出ましたか!・・・えーなんとか、
鉛沢は急な登りが続いて少し危険なんですよ、おまけに今日は水量も多くて対岸に渡渉するのが大変でした。
たわいもないことを話しながらも帰宅の準備を整え会釈を交わし帰って行った。
庚申林道には登山者がそぞろ歩きバイクでその時間に向かう私を怪訝に眺めながらも道を譲ってくれた、
午後三時テン場着、日曜日に降った雨のせいで七滝前のテン場の草地は湿っていて先月よりは何となく居心地が悪そうな
感じだが急ぎテントを張る、2本だけ持ってきた缶ビールを七滝の壷に浮かべ薪を用意し何とか今夜の宿を整え終わる。
夕方の釣りには未だ大分時間が有りそうだがやはり流れを目の前にすると落ち着かない、缶ビールを取りに行きながら庚申川本流を眺める、
やはり5月とはぜんぜん違う、日曜の大雨のせいだ、普段瀬が続き穏やかに流れる区間でさえ白泡が渦を巻き西陽に光っている。
今回の釣りはダメなんじゃないだろうか、明日源流に向かえるのか少し不安になった。
 
ビールを飲み干し釣りに向かう、
七滝から川原に下り対岸に渡渉し厚く巻いた14番のフライを振込む、流れは強くおまけに西陽は強く流れに反射し
そしてなお流れも広い、いつもの一番のポイントに慎重に毛鉤を振込む、反応が無い、時間が早いのか、いや水面が広くなりすぎ
岩魚が散ってしまったに違いない。
居るべき所で反応が無い、対岸の大木の根を洗う流れを読み毛鉤を送り込むがやはり虚しくフライは流れ去り時間も5時近くなり
陽もさすがに山裾に消えようとしている、何とか1尾の岩魚が欲しい、今夜のおかずが欲しい、お刺身が食いたい、塩焼きが食いたい。
そんな不純なだろうか、いやきっと不純だろう、そんな思いで竿を振る。
普段チョロチョロの湧き水のような流れが右岸から流れ出す辺りさへ今日は勢いが強い、草にフライを取られない様にそ〜と打ち込む、
岩魚の赤い腹が反転する、岩魚の姿を完全に捕らへたと気がせったのか敢え無く只の早合わせ、気を落ち着かせ出る筈も無いのだが少しポイントを変え
再チャレンジ、ア〜ヤッパリ出ない・・・・・・
強い流れに足を取られながら上流に向かう、岩魚の反応は無い、先月はあんなに有ったのにどうした事だろう、
それでも何とか5尾の岩魚をゲット、丁度食べごろサイズ、2尾は刺身に3尾は塩焼きに、7時も回り暗くなった細道をたどり
テン場に急ぐ、途中タモギ茸の生えた場所に寄るが何故かナイフではいだ様な痕跡が、これではもう茸も期待出来そうも無いとがっかり。
テン場に戻り焚き火を起し暗くなって独り心細い感じだがまたそれが良い、今日は誰も居ない傍に居るのは七滝に屯する
この山を愛した先人の霊ばかり、悪さも何もしない、私のする事を困ったもんだぐらいには思うだろうが何れ私もその仲間入り。
岩魚のお造り何百円、岩魚の塩焼き3本で何百円、岩魚のガラで取ったスープのお粥・・・これは特別美味い。
滝の作り出すしぶきがテン場まで飛んでくる、10時過ぎ焚き火の炎をもう少し見つめていたいところだが
眠気が差しテントに潜り込む、シュラフの下には誰が置いて行ったのか梱包財のマットを引き何とか冷気を防ぐ、
今朝は3時半起き、直に眠くなり寝てしまう。
6/14 (木曜日)
f1滝を過ぎると流れは右に廻りこむように深い淵を除かせその上流は又滝に変わり天気のせいか
暗く除きこむのも不気味、
正面に架かる細い滝さえも勢いを増し静けさとは程遠い今回の遡行だ。
5月にはこのf2滝で足止めをくらい困ったが前回同様にガレタ左岸を強引に詰め上がる、
詰め上がると踏みつけられた道になっておりどうやら釣り人も沢屋も巻き道として普段使用しているようだ。
右岸10m下には流木がグルグル廻る広い淵が3段に続き漸くのコーヒータイム。
足下にはシロヤシオの散花、濡れた足からは湯気が立ち見上げる空には少し薄日が差し込み入梅の予報などしっかりと忘れ
沢で久々にいれるコーヒーの味わいに心が安らぐ。
今日の釣行は庚申川が名を変える二俣、この先で出合う1:1の左俣赤渋沢の探釣に目的を絞りやってきた、本流は
鏡沢と
庚申川は名を変え蛇行しながら六林班峠に向う登山道と出合いその源流部は鋸山直下まで続く。
赤渋沢出合までは天気も良く岩魚の出も好調とは言えないまでもそれなりに反応があり楽しめた、
下流部ほど出水の影響も無かった様で釣っては放すリリースの連続に嫌気が差しまた画像に残すほどの
岩魚も出ず今回の釣行で撮った岩魚の画は一枚だけ!!。
赤渋沢の出会いは左俣から大岩を噛んで滝状になりその先上流部は2mほどの幅で流れ落ち差して危険な場所も無く
出合から30分ほどで滝に出合うものの平凡な沢だった。
釣れる岩魚の容姿は素晴らしく背は透明な白の斑紋を滲ませた青、腹部はまるで朝日の様な朱色、
白く増水した流れの渦の中から抜きあげるとそこの一点だけがやたら華やかで触る事さえためらいを覚えそうだった。
10時を回り何となく空模様が怪しい、こんな上流部で豪雨にでも遭ったら大変とばかり来た道を引き返し
所々気に入った場所をカメラに切り取り12時過ぎには三才沢出合まで戻る、三才沢で少しだけロッドを出し
岩魚の魚心を楽しみ、ポツポツ落ちる雨を気にしながら斜めの滝右岸に取り付き昔歩いた荒巻道を辿り
ながらもカミさんへの土産でもある山菜を摘み午後3時過ぎにはテンバに戻る、雨はドシャ降り状態。
山の上部はすっかりガスに覆われ山の天気のもろさを感じた、雨の中湯を沸かしモミの木の下で雨を避け
カップ麺をすする、ほんとに今日は誰とも出会わず天気さえ良かったら・・・・・
マ〜、総じてこんな日の山行きばっかりだが自分のペースで気侭に振舞える事がなんとも良いには良いのだが!。
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8/1-2
久々に一泊2日の釣行、とは言うものの午前中仕事。
梅雨のあけたカンカン照りの中、粕尾峠を目指し何時もの様に栃木インターを下りる、信号も無く快適なドライブ。
粕尾川に鮎を追う釣り人が午後の煌めきの中に同化している、ガードレールに寄りかかる年寄りは今夜のおかずでも
釣ろうと言うのかしきりに川面を眺めている、これも毎年の夏の光景。
粕尾川にはいろいろな思い出が詰まっていて何時ものことだが様変わりする景色には特別な感慨が沸き起こり
十年一昔変わらぬ遊びに没頭している我が身は一対何なのだろうか・・・。
あの人も又あの人も逝ってしまった、雨の中杉の木立の下に茗荷を見つけ、これ好きなんだよなぁ〜
と言っては竿も出さずに川面を眺めていた棟梁、一人カンテラの下で飲んだ粕尾川の酒、子供と遊んだ粕尾川
、全て夏の思い出!。
粕尾峠には2時半着、峠から足尾の山並みを眺め小用、それにしても暑い。
時間も早いのでサンダル履きのまま雑木林の中で茸探し、林の中は踏み荒らされて居て採れたのはツル茸1本。
何時もの駐車場に着いたのは3時半過ぎ、バイクの準備、釣具の準備、大ナギ沢まで数分、歩いたら1時間の距離を
ほんとにバイクは便利だ。
4時過ぎ太陽はギラギラ、川原に下りると2〜3日前の大雨のせいなのか人の足跡も疎らおまけに川原は水に洗われたのか
とてもきれい、毛鉤を打つには少し水量も多く手強そうな今回の堰堤下の松木川。
チビ岩魚が荒瀬の中から歓迎してくれる、水流と同じ色で体の割には大きな尾鰭、松木の岩魚らしい。
堰堤下右側の落ち込みでいきなり大きなあたり、16番のフライは水流にもみくちゃにされ所在も判らぬまま水中に飲み込まれ
竿を返すと同時に引き込む様なあたりでビックリ、今夜のおかず1匹ゲット。
右側の壁をよじ登り大岩に埋まった林道に出る、2番堰堤下までの長いチャラ瀬で遊ぶ、此処も又チビ岩魚の歓迎
、今朝3時起きの体はさすがに疲れ気味、強い水流に嫌気が差しもう少し待てば夕まずめだと言うのに6時半も廻って
バイクまで戻る、茜色に染まった岩肌にヒグラシの鳴き声が反響しなんとも素晴らしい。
バイクの音に驚く鹿の親子を横目に駐車場着は7時過ぎ、駐車場を照らす街灯の明かりは強くおまけに良く清掃されたトイレも有り水道も有る、
一番明るい場所に陣取り今日の釣果に喜びビールを空けていると何処からか変なお客さんが覗きこみチョロチョロ、
寄って来たのは一匹の猫だった。
猫に声を掛けながら飲むビールは初めてだ、堰堤を下る水流の爆音さえ余り届かない誰も居ないこの駐車場に猫を相手に
語りかけ何とも面白い、(=^・^=)(=^・^=)酒の肴に持って来たサバ缶の半分を取られ又食事のサンドイッチまでも一切れ
相伴に預かりやがってこの〜(=^・・^=)猫。
猫が姿を消してから気が付くと東の空には月が雲間から夜空を照らし始めた。
8/2(木曜日)
4時半起床、全くの爆睡だった、猫に気を良くして昨夜はすこし飲み過ぎた。
一台のワゴン車がゲート前に向う、もたもた準備を整えバイクに跨ろうとするのだがやはり頭が少し重い、
昨夜の猫は広い駐車場の隅に寝そべりこちらを見ている、(5:00)。
バイクを止め乾いた大岩に埋め尽くされた林道を進む、既に時間も遅く鹿の姿も闖入者への警戒の鳴き声も無い
、振り返れば朝靄に山の上部だけが浮かび立ちこの日の快晴を保障したかのようだ。
汗でびっしょり濡れた背中に堰堤からの風が心地良い、それにしてもこの林道の崩壊はすさまじい昨日測量していた
役人の目にはなんと映った事だろう真新しいピンクのリボンが何を示すのか。
なんとか目的の沢出会いに到着、下流部と違いここいらは何時もの水量、併し沢床は真新しい砂に石が埋まり
釣り人の足跡も無く弛みには上流からの枯れ木が溜まり出水の跡が見て取れる、願わくは今日一日そんな目に合いませんように。
久々のM沢、出会いのハング壁にメタボの体を押し付けゴルジュ帯に進入する、
強い水流、青い水流、磨かれた青い岩盤を白く泡立ちながら流れ下る水流も今日のこの青空の下では
畏怖する感情さへ湧かない、ただ蒼い壷に岩魚の影が無い物か次ぎの渡渉点は何処なのか、そして余りの景色に立ち止まり
感嘆するだけだ。
岩魚とのご対面はとんでもない処からとっぴだった、CS滝の真下、白く泡立つその脇からいきなりのヒット
フライは16番、真っ黒カラス胴のパラシュートは赤い腹を翻すように喰らい付く岩魚をがっちり捕らえ抵抗する岩魚に抗った。
何とも気持良い、今日はこの沢で出来れば4本の岩魚をいただこう、
盆休み来るのか来ないのか訳の分からぬ倅との饗宴の為に。
焼け付くような暑さ、ロッドを振る右腕は真っ赤に焼け溜まらず長袖を取り出し着替える、
隠れる場所も無い、余りの暑さにか桐の大葉さえしな垂れしかも両岸のリョウブは今が盛りと咲き乱れ
匂い立ち岩魚釣だけではないこの沢の素晴らしさを見せ付けてくれる。
何尾目か数えるのも煩わしいほどのチビ岩魚にあきれ流れに浸かりフライの交換、すると前方右岸から鹿の一団が
下りて来た、後方を歩く大鹿が不審に気付いたのか一団とは距離を開け私を監視する。
鹿の一団が姿を消した後はどうしたことだろうか、あんなにうるさかったチビ助どもの音さえも無くなり
変わりにやたら耳につくのは蝉の音・・・何ともやかましい。
左俣に架かる魚止めの滝を攻め右俣の狭い樹林帯に入ったせいなのかほんとに蝉だけが纏わり付くようにやかましい、
時折逆光の中にフライが消える、黄色の目印の付いたカラス針が重たく岩魚の反応を伝える、手繰り寄せ暫らくは眺め
カメラに収めようか悩むのだがこの魚体はやはり脳裏に収めるだけでガマンしよう。
振り返ればまるで梯子段のような釣り場、魚止めまで僅かな距離を濃密に楽しむ事が出来た、
帰りは左岸に付いた鹿道を追いゴルジュの頭まで下る、縦横無尽に付いた幅広の鹿道は歩きやすく熊追いの鈴が
大きく響き山の主も躊躇することだろう。
8/20(月曜日)
今日は茸狩り。
昨夜は麺坊での小宴会、チタケ狩りのメンバー3人に黒ヤスどんを交えての何時ものどたばた宴会なのだが。
腹が痛くなるほど笑い転げて寝たのはなんと12時、翌朝3時半置きで4時出撃と言うのになんとのんびり構えてしまったことか、
案の定目覚ましが鳴っても起きる様子も無く只吼えるだけ。
私は運転手、ナビゲーターの中尾氏の指示に従い突き進むのだが運転の不調法さに中尾氏に叱責を買ってしまう、
まぁ〜言い訳でもないのだが実は嬉しくて楽しくて舞い上がっていたのが真相、遊びと言ったら一人遊び、勿論
こんな遠くまで遊び仲間を乗せドライブするなんて事はここ数年無かった事で内心浮き立っていたのだ。
峠を越え目的の茸山に到着したのは7時、峠を越えた時の気温は17度で寒いくらいの気温だったが現場に着いて見ればまたもや雨
暫らく大粒の雨に祟られもしたが準備を済ませ中尾氏の後に付いて山に入る。
雨に濡れた森の下草に体は瞬く間にびっしょりと濡れ暑さも手伝い昨夜飲んだアルコールが汗と共に噴出してくる、
澄んだ空気にすえた汗の匂いが吸収され足どりも軽く茸山の奥深くまで分け入って行く。
最初にチタケを手にしたのはsyuさんだった、私も茸を手にするのだがなんと言っても今日の目的はチチ茸である、
白い茸、傘の大きな天狗茸の仲間など手にしても誰も相手にしてくれない、ハイハイ・・・また〜・・ってな具合で先を急ぐ
中尾氏など相手にしてくれないのである。
目的地に達しいよいよチタケの争奪戦開始、合流場所を決めたとは言え私には初めての山、しかもチタケがどんな場所に生えて居るのかさへ不案内
、最初のうちは両名の姿を追ってはいたのだがそれもやがて視界から消ヘ中尾氏の姿など何処に有るのか確認も出来なかった。
チタケの姿を追い山肌をトラバース、そのうちチタケが一枚二枚と採れ出しては最初気になって居た目的がいの茸など目もくれず
チタケ〜チタケ〜と叫びながら斜面を這いずる様に動き回った。
採れだしたチタケの重さを腰に感じニンマリしていると目の前に中尾氏が現れ今年は変だ・・・こんな秋の茸まで
と取り出して見せてくれたのは釈迦シメジ、私は始めて目にする茸だった。
旋風の様に中尾氏は再び視界から消へ私はまた合流先の尾根を目指しチタケ〜チタケ〜と念じ合わない靴を気にしながらも
柿色のチタケを手にする事が出来た。
両名の姿は何処にもなく置いてきぼりを食らったものと思い込み必死で落葉松の尾根近くまで登った、
鳥の囀りも蝉のかしましさも無く只汗の匂いにまとわり付く藪蚊の音も無い襲来に辟易しながらも水分補給。
暫らくしてsyuさんと合流、チタケは南斜面には余り無いとの事、それでも腰の篭一つは収穫し既にザックに仕舞い込み
嬉しそうだった、合流地はこの先かと話しながら何処に居るのか判らぬ中尾氏を呼ぶのだが返事が無い。
すると先ほどまで静かだった落葉松の樹林を揺るがすほどの今まで聴いた事の無い蝉が・・・・・・・
ゴーツク・ゴーツク・ゴーツク・ゴーツクツー・ゴーツクツ〜〜〜〜〜
還暦syuサン蝉が突然歌い出したのである、谷底に向って甲高いsyuさん蝉がひとしきり鳴きだすともう止まらない
ギャハハハハハ〜アハハハハハ〜
 オーイ・ゴーツク・ゴーツク・ゴーツクツー・クツクツ〜〜〜〜〜
中尾氏と合流、不満足と言いながらも背中の篭には重たげに仕分けされた袋数個が入り高揚した顔は仲間と遊ぶ山にむけていた、
夏の茸も今日が最後なのか、里の酷暑も此処までは届かぬのか風は気持よく既に芒の穂も出揃い秋もすぐそこにやって来ている、
あーほんとに今日は楽しかった。(メンバー、中尾氏、田辺氏、osanai)
8/26
久々にかみさんと庚申川を歩いた。
ゲート前には熊谷ナンバーの車に大宮ナンバーが各一台駐車済みで
私の車を入れるとそこは埼玉県内の公園駐車場のようで笑える。
いずれも登山者のようだ、この時季の庚申山、暑いだけで見るものも無いだろうとかみさんと話しながらの道行き
、林道の舗装が切れる頃一人の年配者と遭遇、互いに会釈のみで追い越した。
19日皇海山での遭難もやはり年配の女性(65歳)だと言う、家族で楽しんだはずの登山が一変して悲惨な結果に終わるとは
誰も登山開始時には想像も出来ないことだろう、軽装でしかも簡単な気持で奥山に入るなんてとても考えられないことだが・・・!
庚申7滝で休憩、ベンチの下には誰が置いて行ったのか包装されたままの薪が2袋も有った、
最近はゲートを空け一般車両までもが7滝前の広場に駐車していることが多い、余り感心した事ではないがいたずらに遭う事を考えたら
やはり止めたほうが無難だとは思うのだが。
カメラを取り出し滝で潤うかみさんを撮ろうとしたがなんとカメラはバッテリー切れ、たったの1枚撮っただけで後は
ただの重いだけで役立たずのお荷物となってしまった。
滝から庚申川本流に下り左岸沿いに巻き道を行くと暫らくして6月に採ったタモギ茸の生えた腐れ木に出会わす、
釣りを急ぐ余り山の斜面には誰も目をやらないのだろう、今回もまたその木にはキノコがびっしり
6月と同じく黄色の豪華なタモギ茸でそこだけがやたら華やかに感じられる。
歓声を上げて横からも下からもその5〜6メートルも有ろうか横たわり豪華な贈り物の付いたタモの木を見回す、
少し白んではいるが匂い立つキノコを用心しながら一株づつ採り込む、大きめの袋に青草を敷き重ならないように
詰め込む、結局袋2杯のタモギ茸の思わぬ収穫、こんなことも有るもんだと2人で大笑い。
(画像は07年5月収穫のタモギ茸)
7滝前の広場には地元足尾のナンバーを付けたバイクが一台駐車してあった、登山者かなとは思ったのだが
沢を詰めていくに従い川原の石に濡れた足跡が・・・・
先客の釣り人とは約17メートルの斜めの滝近くで遭遇、話しかけると庚申川の監視員との事で今日は余り大きいのとは
会えなかったよ・・・自分はもうこの辺りで帰るので上流を楽しんで下さいと快く道を譲ってくれた。
今日のかみさんの目的は山菜のミズ(ウワバミ草)しかも赤いミズを狙っての入渓でも有る、ただ景色を愛でるなぞそんな高尚なものではない。
先月とは違いめっきり水量の減った斜めの滝左岸を巻いて上流の大淵を眺めると蒼く澄んだ淀みの中に黒い影
、岩魚が昼寝中だとかみさんが指を差して言うが私には見えなかった。
此処まで一人なら遡行時間は1時間強、併し今日はその時間が分からない時計を忘れたのだ、林道を半分ほど進んだ時に気が付いたのだけれど
さして急ぐわけでも無しと大様に構えたのがいけなかった、おまけにカメラのバッテリー切れ、時間を知る術が全く無い。
天気は上々、沢の中には余り陽も差さず風は気持よくじっとして居ると汗が引きシャツ一枚では寒いくらいだ、
三才沢に入り昼食にする、鍋に湯を沸かしいつもの沢ご飯、岩タバコの葉、ミズの茎を湯がきラーメンに入れる。
するといつものカップラーメンがとても美味しい沢ご飯に変わるから変なものだ、ラーメンを啜りおにぎりをぱくつき
一息入れて今度は自由行動、かみさんは山菜採り私は岩魚釣り。
ミズは両岸にびっしり生え揃い青い茎のミズ、赤い茎のミズと選り好みさえしなければ帰りの荷物を心配するほどに採れる、
帰りの距離を考えたらそんなには採らないだろうがあの人のことだからな〜〜・・・少し心配でも有った。
魚止めまで僅か150〜200メートル、最初チビ岩魚の猛襲に遭い閉口するが上流に進むに連れ
ロッドを絞る岩魚の重さが頬を緩ませてくれる、それにしても一枚の写真も残せ無いなんて残念だ。
朱色に染まった居つき岩魚の華麗な姿に薄暗い沢筋のその場所だけが宝石のように輝いて見える、
何かに捕りつかれたかのように通い詰めた庚申川、その正体は沢の妖精なのかもしれない。
魚止めの小滝を過ぎ右岸の大崩を巻いてその上流に架かる滝を眺めて本流出合いに戻る、滝の高さは6メートルほどだろうか
両岸は狭く滝には巨木がのしかかり一人ならなんとか詰めて登山道に出るのだが・・・・・
ミズを取り揃え膨らんだザックに笑い出すかみさんをからかいコーヒーにする、
土産の岩魚も家族分は用意できたしと時を気にしながら楽しんだ沢を後にする。
帰りの道は本流右岸に付いた荒巻を通過、ゴルジュ帯は上から眺め楽々下山する事が出来るのだがいかんせん今はこの道を知る人も少ないのか
細い筋になって消えようとしているのがいかにも残念だ。
キノコを回収して一の鳥居からゲートまで珍しく誰とも会わない帰路だった。
真夏のような気温、いつもの駐車場には石探しの二人が支度中。
のんびりと今日は(16日)目的のテン場に着けばよい、先週の台風9号の大雨で
林道はズタズタ状態、モンキーを駆る私の運転バランスなど関係なく弾き飛ばされるような衝撃が間断なく
剥き出しの石の林道から襲い掛かる。
出合の舗装路には押し出された土砂と無数の石ころが広がり出鼻をくじかれ往生する、
舗装が切れ先月の釣行までは快適に走れたはずのジャリ道も大きく抉られ殆ど水路化している。
何とか入渓地まで辿り付く、大型のオフロードバイクなら何の問題も無い、むしろそのバイクの特性を生かした
面白いドライブが出来たろう。
(PM9:15)駐車場→入渓地(9:40)とんでもない暑さ、バイクの運転だけで大汗をかいてしまった、
久々に45Lのザックに野営道具及び飲み物食べ物等をたっぷり詰め込んだせいで肩や腰にかかる重量感は半端では無い、
あぁ〜重い。
流れの際に付いた巻き道を確かめるように辿る、直近の足跡は一つだけ。
もしこの先で釣り人と会ったならどうしよう、笑って話せるだろうか、そんな不安が走る、
何度か渡渉を繰り返し中流部のゴルジュ帯を避け右岸に付く荒巻道を辿る、出会いの瀞場は先月とはすっかり様相を変え
膝までの渡渉で済んだ、この時季本来なら余り流れの中には入りたくは無いのだが今日は違う、本当に暑い!。
荒巻道の上部からはゴルジュ帯は見えない、台風の置き土産か枯れ枝と振り落とされた葉っぱが足元を被いつくし
何度も立ち止まり先を確認する、見慣れた涸れ谷には今回水流が復活し岩肌に付いたウワバミ草の全てが谷下に頭を下げ
それも未だに水滴を落としていた、相当な出水だったに違い無い。(12:10)
ゴルジュ出合で足跡は反転していた今日はこの先誰も居ない、私一人貸し切りの源流部だ、ヤー嬉しいな・・・!。
河床にはゴミも無く蒼い流れには岩魚がかなりの数が奔り嬉しくなる。
中流部に架かる大滝を右岸から巻き道に従い労無く過ごす、漸く目的のテン場近くまで来た、落ち葉に覆われた荒巻き道に従い
河床から少し離れた台地にモミの大木が生えるその場を目指す。
お茶碗のかけらが苔に沈み込む様は賑やかだったろうとその頃を想像する、この道は峠を越え
燐県に通じる山人達の街道だったのだから・・・・・。
テン場到着(12:25)テン場には何と赤モミ茸がニョキニョキ、ザックを下ろしその場を散見、ぁれ〜タマゴ茸も・・・・!
とりあえず嬉しい茸の出迎えに会いテントの設営、焚き木集めと今夜の準備を整へ一休み。
夕方までの釣りは面白かった、台風の通過以来誰もこの辺りまで来なかったのだろう、洗面器のようなポイント
白泡の落ち込み、ゆるりとした大場所小場所と到る所から岩魚の反応が有りなんと言う楽しさだろう。
今年一番の大釣りに違いない、岩魚達は私の撃つ
毛鉤に狂気し食らい付く様は面白おかしく振り返ればわずかの距離竿を出しただけだった。
取り合えず今夜のおかず分と焼干しを含め程々の大きさの5匹を確保、2匹はお刺身に後は家族分の土産だ。
岩魚の元気な姿に気を良くしまた手土産を得てテン場に戻る、
対岸を賑やかに下る滝の音さえ気にならず暮れかかる流れに羽虫の飛び交うのも気にせず
岩魚を捌き
キャンプの火を掲げ本当に今日は独りなんだと実感する。
先月にはかみさんとこの場で山菜採り、去年には友と笑いながらの遡行、
今年は幾度この流れに親しんだのか、ほぼ毎月のように実家に戻るかのように来たではないか。
それなのに何故今更、陽も落ちて最早帰ることさへ適わない時間なのに・・・・・
心の中に突如湧き立つこの不安、森に覆いかぶさる帳のように襲い掛かるような不安、
振り払うように焚き火の炎を高々と上げ篝火のように辺りを照らし酒を煽る。
9/17
夜中に背中を刺すような冷たさに目が覚める、薄いギンマットだけではやはりこんなものかと思い
寝ぼけながら雨具をマットの上に広げ寝なおす。
何とも爆睡、初めての場所でよもや誰も聞いてはいないだろうがとんでもない大いびきだったに違いない。
しっかり灰となったかと思ったのに灰をかき混ぜると燠が残っていてなんとか盛大に煙を出すことに成功、
湯を沸かしのんびり朝食の準備、コーヒーを啜りながら今日の行程を考える。
のんびりしていてもかまわない、この場所まではどんなに急いでも2時間はかかる、
おまけに上流方面から流れる煙の匂いに気落ちして(なんだよう、先客がいるのかよう〜)とか何とか言って罵るに違いない。
そんな事を思いながら食事を済ませ簡単にキャンプの整理をしてサブザックを背に上流境沢を目指す。
朝の陽もまだ差し込まない庚申の流れは鈍い銀色に光り対岸の41号滝の飛沫だけがわずかに陽を帯びて今日の
好天を約束しているかのようで嬉しい。
長い瀞場を避け右岸の小道を時折現れる小滝を眺めながら前日夕方の釣りを思い出しながら遡行する、歩きながら思うことと言ったら
昨夜飲んだ酒の事かそれとも焚き火を眺め狭いテン場の空間から思いがけず飛行機の点滅を目にした事か。
独り過ごす暗闇の不気味な静けさに川面の音もかき消されそこに居る筈の無い友にひとり言を繰り返した事など・など。
どうしようもないほどの寂しさを感じた事など一度も無い、むしろ煩わしさから開放された喜びのほうがどんなに大きい事か
、なのに家に帰ったら独り遊びの楽しさの共有を求める余り饒舌になり酒の度を過ごし寝てしまう事がたびたび。
右岸の巻き道をそのまま行けば三才沢出合に出るわけだが何故か右岸高く付いた鹿道の立派さに誘惑され
のこのこ辿ってしまう、道幅60センチも有ろうかしっかり踏み固められ滑ることも無くせり出した岸壁の下まで
30メートルほども登ってしまう。
上から眺める庚申川は狭く音を立て一晩過ごしたテン場のほうに流れ消えていく、もはや下りるのも面倒と思い
鹿道に誘われ右方向に巻きながら進むとガレ沢が1本、足元に注意しながらわたり終えるとなんとそこは
三才沢出合、本流右岸小法師尾根からのガレ場に付き当たり肝を冷やした。
余計なアルバイトで本流に下りたのは9時頃。境沢手前の通らずはいつものように右岸の泥壁を乗り越え右岸の滝を眺め左岸のガレ場を20メートルほども登り
下を眺めると木洩れ日に青く光る大渕に目を囚われる。
釣り支度を整えコーヒーを飲みのんびり過ごす、空は青空流れは蒼く透明、おまけに誰もい無い貸し切り状態。
飛び出す岩魚は水色に染まり朱の斑点も艶やかに美しくしかも皆小太り状態、いかにも美味しそうだけれど今日は見るだけなのだ。
目的地赤渋沢はもうすぐそこだ、出合は広く本流境沢は大きく右に蛇行し赤渋沢は右岸小滝の奥から
静かに流れを合わせる。
流れは穏やかでゴミ一つ無く直近の足跡も無い、サ〜岩魚よ出ておいでよ・・・・・
願いながら振り込むのだが何とも気配が無い、あれ!おかしいな!
毛鉤のサイズを変えなんとか飛び出した岩魚をカメラに収め右岸に上がり落葉松の林を下る、するとどうだろう枯れた桂の木の幹に
本年8月20日釣行何某・・・との署名。
貧果の原因がこれだーと勝手に決めつけ出合まで戻る、出合の川原に座り込みザックから歯ブラシを取り出し
何とも悔し紛れの歯磨きと決め込んだ。
来る時とは又違う景色に目を囚われながらも難関の通らずを下るべきか迷った挙句落ち葉に埋もれたガレ場にうっすらと残る
踏み跡を注意しながら辿ると右岸のザレ場に出合う、
潅木に身をゆだねながら10メートルほど下ると通らず下のゴルジュ、暗いゴルジュ帯を通り抜けなんとかテン場に到着、今回の釣行もこれで終わり。
暑い日差しに重たいザック、右岸の巻き道を赤沢まで下り長い休憩、殆ど濡れることなく巻き道を通り7滝まで辿りつくと
数台のバイクの轟音、宇都宮ナンバーのオフロードバイク6台が草地に並べられ若者がギャ−ギャー騒いでいた。
驚いたように話しかけて来る若者達に皆思うことだろう、確実にこの山で遊ぶ者の代替わりが近づいている事を。
バイクが走り去り近辺で何かキノコでもと探って見る、惹かれたように斜面をかけ登り見回すと大きな塊の上に小蠅が飛び交い
何やら好い匂いがする、ほじくって見るとずっしりとした茸の塊、たぶんモミタケか・・・
重たい3株のモミタケをザックの上に括りつけ林道をバイクで下る、今年も庚申川楽しかったですよ。
10/14_雨降沢にて
雨降沢・・07/10-14(快晴)
07年の釣期も終え少し早いけれど紅葉見たさに以前から脇きを通り過ぎるだけだった
庚申川右岸の雨降沢に侵入。
10月14日、文挟の自宅を6時半出発、日光清滝着は7時半頃、既にいろは坂への道は大渋滞。
麓から眺める男体山は少しだけ色づき始め紅葉には程遠いような感じだがそれでもやはり中禅寺湖辺りは
随分と違うのだろう。
この時季足尾に向う車も少なく細尾トンネルは排ガスの匂いも無く快適だった。
併し今年は一対何度この道を進んだことだろうか、以前は佐野から桐生そして足尾に向う銅街道を直進したものだったが、
文挟に仮の居を構えてからはもっぱら日光市街を通っての足尾通いに変わってしまった。
8時過ぎ銀山平のカジカ荘上段の草地に駐車、既に草地は車両で埋まりなんとかススキを整理して駐車。
するとその脇に一台の軽自動車が止まり良く見ると年配の女の人でどうも登山者らしい、
いろは坂の混雑にめげてしまい庚申山を歩くとか。
少しの距離を歩くのが面倒でいつものようにバイクを積んできた、荷大から下ろしバイクの組み立て
と言ってもモンキー・・ハンドルを立てエンジンを掛けそのまま走るだけなのだが。
カジカ荘上流の大堰堤を横目に本流に下る、ここまで来るとさすがに紅葉も深く晩秋の気配が色濃い。
庚申本流を歩くのも10年ぶりの事か、倅が確か中学の夏に歩いたようなそんな記憶が・・・もう忘れてしまったが。
本流に下り立ち陽の射さない川原を上流に歩くと深い淵が行く手を塞ぐ、見回してヘツリを探したが見当たらなく
面倒なので右岸すれすれを腰の辺りまで水につかり渡渉・・イや〜さすが10月の水は冷たい。
少し歩き本流右岸に雨降沢の滝が落ち込むのを確認、雨降滝ともう読めないほどに色変わりした看板とも言えぬ板が
立ち掛けられ右岸泥壁にトラロープ、
迷わずそのトラロープを追いかけ雨降滝を右に眺めながら急坂をよじ登る。
併しこれは失敗だった、トラロープより上段は人の踏み後も鹿道も無くザレタ壁に変わり滑り落ちたらそのまま
庚申本流に戻るだけ、潅木にしがみ付き雨降滝の架かる上段を見回すと尾根の末端部分になんとか辿れそう。
下を見ないように細い小アジサイの枝を頼りに尾根の末端に這い上がるとそこはちょうど雨降滝から僅かに
登ったくらいの距離で沢までの距離は40メートルほどか、斜面はモミの木が密に生い茂り歩き安かった。
モミの木が切れる辺りまでへばり付く様に斜面を下ると沢床から4メートルの高さまで殆ど一枚の岩壁に変わり
立ち往生、前方を見ると岩の切れ込みが斜めに河床まで続くのが見え其処まで行くのもまた難儀だったがなんとかその
切れ込みを伝い河床に下り立った。
雨降滝を上段から眺めようと60メートルほど戻り返し滝上から庚申本流を眺めると本流はまだ陽も射さず黒いアブラのような広い淵が
気持悪いほどだった。
登り返し雨降沢の左岸を見上げると何の事は無い、
あんなに苦労して下り立ったのに道は滝の右岸にしっかりと付いていた、確認もせず
トラロープに飛びついた己の馬鹿さ加減にあきれつつこれで帰りの心配が無いとばかり階段状に深く上流に続く雨降沢の遡行を開始する。
それにしても急峻な沢だ、目だった大滝は殆ど無く出合から300mほどはあごをしゃくり上げる様な感じの上りが続く、併し渓相も良く
左岸のチョッとした所には炭焼釜の後も有りこの沢にも杣人の暮らしが有ったと告げている、
どうりで岩魚が奔る訳だ・・なっとく!。
雨降沢中流部に入ると覆い被さる様に木が茂り苔の中には山葡萄の完熟した房が落ちていてちょうどいいからその場で休憩。
あんまり熱さを感じなかったのだが背中は汗でべっとり、薄手の長袖に着替えお茶にする、一面苔が広がり何とも気持良く
右岸の沢グルミの倒木が気になり寄って見るとなんとビックリ、
楢茸がびっしりと生えていてどうしたことか困ってしまう。
結局その場にマーキングの赤テープを垂らし帰りにキープと決め込んだ。
スッパイ完熟山葡萄に気を良くして更に上流に、すると落葉松林の尾根が前方にせり上がり沢は二俣に、本流は右俣から階段状の
3メートル滝を落とし登りきると僅かにゴルジュ状の流れに変わり水流の細いナメ滝を20mほども登る。
それにしても一対この沢の岩魚は何処まで居るのか・・・
滑滝の上には又更に滑滝が続きやはり滝の落ち込みには細かいながらも岩魚が上流に頭を向けユラユラしている、
2本目のナメ滝は赤い砂岩の流れ、岩魚はひょっとすると赤い体色に変化しているかも・・・・
3本目のナメ滝は流木に塞がれて直接流れに入れず右岸際を通過、深く蒼い溜りにはまだ岩魚が居るんだろうかと気になる。
この滝が最後沢は上流域に変わり水量も乏しく両岸は落葉松林に覆われ更に二俣に別れる。
二俣の手前でちょっと気なった茸がびっしりと生えていたので撮影、
二俣に出合い右俣はと思い目をやるとなんと其処には
至近距離で凡そ15メートルばかし・・黒く大きな毛玉がピカピカと光っていて思わず熊だ〜と心の中で叫んでいた。
驚いたものの熊のほうも人間にビックリしたらしく一瞬たじろいだ様子で私を見つめる・・数秒の事だろうけれど!。
胸に付けた熊よけの鈴を思いっきり鳴らし両手を万歳するように伸ばし大声を出した・・
片手\(~o~)/片手で鈴を鳴らし
熊を威嚇・・熊の方は仕方なく道を譲ってくれたのか振り返り振り返りしながらも落葉松林の奥深くゆっくりと歩いて行った。
熊を威嚇しながら目検討でカメラを構え撮影、
あ〜〜〜ほんとに驚いたな〜〜〜〜(^_^;)
我が家のミカンは立ち上がると大人と同じ、(150センチくらい)カールはもっと大きかったな〜・・
シェパード犬と比べるつもりは無いけれど日頃黒い背中の大きな犬とじゃれているせいなのかそれほど危機感が無かった様な、
ほんとに相手が深山の紳士で良かった。
犬パンチならまだしも熊パンチでは助からないし・・おお〜怖ぁ!。
尾根に直進する雨降沢も既に笹の中に窪状に埋まり尾根に付き上げている。先ほど遭った熊を気にしながら胸に付けた鈴を鳴らしながら
胸丈ほども有る笹の中を進む、抜け出したのは小法師尾根。
小法師尾根の正面には赤く紅葉した袈裟ヶ岳連峰の一つ小丸山がどっかり座り庚申川方面には庚申山の姿、なだらかに沈んで行く
尾根の前方は栃木方面の平野が広がり強い光が何かにピカピカと反射してきれいだった。
尾根から俯瞰するその眺めは最高、山の名前が分かればなお最高なのだがいかんせん私は釣り屋さん、山屋さんでは無いのだ。
雨降沢の源頭に赤いテープを巻きつけ尾根に出て見るとそこは庚申川よりは落葉松林、餅ヶ瀬よりは自然の樹林帯。
挟むように防火帯になっていて木は伐りはらわれ膝から胸丈ほどの笹に一面覆われ気持ちよい風が小法師岳方面に吹き抜け
余りの心地好さに暫らく昼寝でもしていたいほどだった。
防火帯の真ん中に白樺の巨木が一本、根元に腰を下ろし休憩、おにぎりをパクつき茶を飲みタバコを吸い笹原に足を伸ばし
出合った熊の事を思い出し・・・あ〜〜自己責任の無責任なんて独り言を繰り返す。
(小法師尾根)
一休み後小法師岳方面に向う(1593m)尾根からは前袈裟丸(1878m)から餅ヶ瀬川に落ち込む紅葉に色づくガレ場が見渡せるが
人の気配は感じられず照りつく太陽と風の音、そして風にサワサワとなびく笹原の中にまたしても熊でも居るのではと・・・
あ〜〜不気味、だけど気持ちよい世界。
結局小法師岳登山は諦め雨降の源頭に戻る(1時半頃)、来た沢をのんびり下り途中で気付かなかった朽ちたドラム缶、
朽ちたトタンの波板などの散乱した場所を通過、きっとドラム缶風呂でも立てたのかその辺りには炭のかけらも散乱していて
そこの場所だけが異様に人臭くてなんだかうっとうしくも有り見たくも無いような場所だった。
熊と出合った二俣を過ぎる頃から沢は又急に落ち込むように斜度を増し途中に残したナラ茸の有りかを示す赤いテープがユラユラ
揺らめくのを見つけ急ぎ茸の採取。
今朝とは違う景色にキョロキョロしながら沢沿いに付いた鹿道を下る、釣り人もまたこの鹿道を通るのだろう、時折投げ捨てられた
缶コーヒーの缶、釣り餌のケース、ペットボトル等を回収しながら胸の鈴を鳴らし本流出合い迄下る。
出合の雨降滝は左岸についた薄い踏み跡を辿ると本流を見下ろせる断崖に下り立つ事が出来そこからは
7mほど下ると雨降滝の真下に下り立つことが簡単に出来る・・・・朝のうちに確認しておいてよかった。
今度は濡れるのを嫌い本流左岸の釣り人が利用するのだろう薄い踏み跡を上下しながら旧道に向う。
時計を見ると午後3時、今年はもう来る事も無いか・・
そう思うとなんだか勿体無くて雨降沢を眺めながら其処で本日始めてのコーヒータイム。
只のんびり・・のんびり・・ん〜ん〜〜〜。
バイクまでの登りは辛かった。