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岩魚釣り・・庚申川本流にて

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 思い立って庚申川へ、久々の本流岩魚。
フォレスターの後部シートを倒しモンキーを積み込み日足トンネルを抜ける。
平日火曜日の朝は静か、日の出の早いこの時季と言えどやはり峠を越す大型のトラックは少ない。
足尾側の神子内川には一人の釣り人も、また駐車中の車も見かけずこの時期にしてはやはり寂しい限りだ。
が、併し平日の流れを一人独占できたなら最高の一日になる事は想像できる。

銀山平に車を止め林道が丸石沢を過ぎる頃から霧雨に濡れ寒くなる。
道は良く整備され、モンキーのタイヤが石に跳ね返される事もなくすんなりと七滝へと。
モンキーの運転に久々の緊張感を味わった。
釣り人の気配もなく銀山平のゲート前には登山者の車2台。
やはり今日の溪は貸切のようだと 七滝を横目に庚申川本流に降り立つ。
雨に湿った砂に釣り人の足跡はなく、暗緑の葉屋根の下に延びた小道を行けば枯れた立木に緋色のマスタケが大きな傘を広げ その空間だけが異常に明るく奇妙だった。
砂地に残る猟師の焚き火跡は又、冬の賑やかだった山の様子を想像でき何故か今日一日が楽しくなるような気がした。
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七滝下の広い暗い樹林帯を行けばどこもかしこも懐かしい場所ばかり。
一年ぶりのその景色を確かめながら、
河原に降り立ちロッドをセット、リールをフィラーに噛まし14番の特製カラス羽のパラシュートを繰り出す。
4番8Fは苦も無くポイントにフライと初投の期待を乗せる。
大水の後だろう、河原の石も巨岩も磨かれ流れを被う枝葉は変色し、かつての好ポイントに立っていた巨木は 根こそぎ倒れ、只々地勢の有り様はすさまじいと驚くばかり。

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久々に渉る冷たい流れに足は思うように運ばず、今季初の岩魚釣は体に応えそうだ。
雲が切れ青空が眩しく広がり背に汗が流れ出す。
蝉が鳴きミソサザイが強い流れの音に負けじと強調する、ミソサザイは早春とばかり思っていたが...。
ロッドをあおり抵抗する岩魚の目に今さらながらにびっくりしては、・・竿を振るのだが。

やがて赤岩の沢近く。
今年の本流は本当に綺麗だと思いながら流れを渉る。
ゴミの散乱、釣り人の少なさはやはり福島原発の事故が要因だろう。
併しながらキャッチ&リリースであるなら放射能の災禍は気にしなくとも良いのだが。
それでもやはり釣り人の乱獲や煩雑な思いに駆られずのんびりと過ごせる今日に感謝。

湯を沸かしコーヒーをいれ、岩タバコを数枚むしり取りカップ麺の中に放り込む。
例年、巨岩を被い尽くす紫の花を今年は見る事が出来るだろうか。
マグカップを手に岩タバコの夏の光景を思い浮かべる。
岩タバコの苦味、沢水に混じった目にも舌にも味わえぬ放射能の苦味とでも言うべきか・・
一人沢遊びのご馳走は
満ち足りたこの感情を何とも表現の出来ぬ、至福の味わいとか
心にしみる味わいには違いない。
デジカメに記録した釣果を確かめコーヒーを味わい空を見上げる、やはり泊まりなら良かったなー・・・・・・。
久々の溪に足裏も笑い振り返りながら、やはり泊まりで来ればよかったな〜
                           2012年6月26日 庚申川釣行にて
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